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早部 安弘(はやべ・やすひろ)
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経歴(受賞時)
1964年 群馬県生まれ
1988年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1990年 早稲田大学大学院理工学研究科
建設工学専攻修了
1990年 大成建設株式会社入社
現在 構造設計室長
主な作品
2004年 高松シンボルタワー
2005年 銀座寿一会ビル
2005年 MIKIMOTO Ginza2
2006年 東京大学柏キャンパス環境棟
2007年 成城タウンハウス
2010年 南江堂第2ビル
2011年 千葉ロッテマリーンズ屋内練習場
2012年 清水文化会館マリナート
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高崎市総合保健センター・高崎市立中央図書館
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高崎市総合保健センター・高崎市立中央図書館
所在地 群馬県高崎市/
主要用途 保健センター、事務所、図書館/
竣工 2011年/
発注者 高崎市/
設計 佐藤総合計画 大成建設一級建築士事務所/
施工 大成建設/
敷地面積 12,469.98m2/
建築面積 6,631.65m2/
延床面積 32,392.10m2/
階数 地下1階、地上6階、塔屋1階/
構造 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造/
工期 2009年7月〜2011年1月/
撮影 小林研二写真事務所
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選考評
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利便性や施設の効率化に向けて、公共施設の複合化が盛んに行われている中で、運営や機能要求が必ずしも共有できずに、独立性を保ちながらも複合することが多くなってきている。本施設はその典型的な事例で、各組織の求める床面積に大小があり、かつ、利用者層、セキュリティや気密性の面でも多様である。通常であれば独立して建てるか、やむなく複数の層に分けるところを、各用途の最適なまとまりを保持しながら、自由なプランニングとなっている。
その実現には、構造家から出されたアイデアが大きな役割を担って、実現したことは明快である。採用されたのは、免震構造とした上で、異構面フィーレンディール架構による外殻構造である。地震力の負担を固めた外周に負担させ、その固め方が外装そのもののデザインとなって表れている。
単なるパッチワーク的な表層デザインではなく、構造との上手な融合となってバランスが取れている的が高く評価された。同時に、施工段階においても、工事段階ごとの撓みの監理など構造的な要求を厳密に行った成果は、エントランス部分の大きな張り出しを見上げれば、精度へのこだわりが十分に理解できる建築である。
工藤 和美(選考委員・建築家)
建築計画と構造計画において、フィーレンディール架構を介在させることによって両者の調和が見事に図られた建築である。フィーレンディール架構は、構造合理性としてはトラス架構には及ばないものの、トラス架構にはない「しなやか」な構造表現が可能な魅力的な架構形式である。建物外周に2.275mピッチで配置されたH型鋼(H- 800 × 300 mm)による柱と各階の床梁で構成されたフィーレンディール架構は、水平荷重を負担する耐震要素であると同時に、上下階で構面が異なる外殻架構の鉛直荷重をスムーズに下部に伝達させるための1層分のデプスをもつフィーレンディール梁として機能する。
この手法により、各階で床面積が異なる建築計画を可能とし、かつ建物内部には鉛直荷重を支持するCFT柱のみが存在する、自由度が高く開放的な空間を実現している。また、リズミカルな外殻架構は、構造的には閉じているが、視覚的には開かれることで“殻”のイメージは払拭され、緩やかな内外の境界がつくられている。
単に構造エンジニアリングに徹するだけなく、建築との調和を目指した氏の構造家としての活動は、日本構造デザイン賞として相応しいと考える次第である。
小西 泰孝(選考委員・構造家)