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小西 泰孝 (こにし・やすたか)
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経歴(受賞時)
1970年 千葉県生まれ
1995年 東北工業大学工学部建築学科卒業
1997年 日本大学大学院理工学研究科修士課程修了
1997〜2002年 (株)佐々木睦朗構造計画研究所
2002年 小西泰孝建築構造設計設立
主な作品
2003年 レストランのためのテーブル
2004年 FK-house
2005年 Table
2006年 松庵の住宅、BEAM
2007年 にわのある家、苦楽園プロジェクト、TWIST、O社社屋、狛江の住宅
著書
『ヴィヴィッド・テクノロジー年 建築を触発する構造デザイン』学芸出版社、2007年(共著)
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神奈川工科大学KAIT工房
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305本の柱が立つワンルームの内部空間。(撮影 石上純也建築設計事務所) ▶
神奈川工科大学KAIT工房
所在地 神奈川県厚木市下荻野1030/
主要用途 工房/
竣工 2008年/
発注者 学校法人幾徳学園/
設計 建築:石上純也建築設計事務所、
構造:小西泰孝建築構造設計、
設備:環境エンジニアリング/
施工 鹿島建設/
敷地面積 129,335.04m2/
建築面積 1,989.15m2/
延床面積 1,989.15m2/
階数 地上1階/
構造 鉄骨造/
工期 2007年6月〜2008年1月/
撮影 石上純也建築設計事務所
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選考評
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「建築とは」終了の規則を持たない。つまり、いつ終わりにするかハッキリしていない。
私どものような建築の設計に従事しているものにとっては、限りなくより良い方向を探るコトが日常化されているが、より良いとは絶対的基準がなく、その目標値も自由である。
つまりその設計者の価値観に帰属するため、いつ終えてもまた自由である。長く時間をかければ良いというものでもないが、しかしその価値観はしだいに研ぎすまされていくコトになる。
それは建築家のみならず構造家に於いても同じコトがいえるのだろう。今回審査させていただいた日本構造デザイン賞に応募された作品の一つ一つに同じコトがいえるのだろうが、私の眼を引いた作品「神奈川工科大学KAIT工房」はとくにその思いを強くしたものである。
細い柱の構成によって大きな空間を作りたい・・・と建築家が考えることは珍しいコトではない。古くはF.L.L.ライトのジョンソンワックスや妹島和世の古河・総合公園飲食施設を思い出すが、このKAIT工房では地震時の水平力に抵抗する壁やブレースがない、水平ブレースもない。繊細な無垢の柱と云えるフラットバーのみで構成されている。一見ランダムで気楽な一発芸に見えるが、意味のある建築としれ成立させる努力が隠されていて、前段の話で言えばその設計の、また建築そのものの終わり方に興味を持った。構造の組み立て、解析、検証・・・何度となく繰り返されたであろうトライアンドエラーの連続、大変な作業の積み重ねによって得られた建築家と構造家のある瞬間の結論というコトになろうか。
自由でランダムな柱配置も、そこで行われるであろう工房の作業を分析し周到に計画されたものである。そのため、この建築はフレキシビリティの高い建築ではない。むしろ固定度の高い構築された建築と云えるかも知れない。
フレキシビリティが高いとは、建築的にはある意味で決定を放棄するコトであるし、逆に、構築する建築は普通その苦労が見えるものだ。小西さんが建築家・石上純也と共に研ぎ続けた苦労は並大抵ではあるまいが、しかし、その苦労が見えないコトがこの作品をさらに際立たせている。
横河 健(選考委員・建築家・日本大学理工学部教授)