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日本構造デザイン賞賞牌

2024年 第19回日本構造デザイン賞


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総合選評
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 今年度の日本構造デザイン賞には、心配をよそに例年以上の20件もの応募がありました。作品の種類、規模や応募者の所属は多岐にわたりました。その中でも木造や木質ハイブリッドの作品が多いのは時代を反映してのことがあるでしょうが、木造と構造デザインがつながりやすいこともあると思います。高層建築や大空間を有する大規模な作品もノミネートされる一方、100㎡に満たない仮設建築や歩道橋の作品などもありました。これらをどのような視点を持って構造デザイン賞に値する作品として評価するか、いつも迷いがあります。応募要領には選考基準の記載はありますが、そもそも構造デザインとは何なのかについては何も定義がないからです。
 今回選考委員には、新たに建築家の原田真魚さん、安原幹さん、構造の有識者として早部安弘さん、腰原幹雄さんを迎えて、鈴木啓さん、大野博史さんとともに強力な布陣で臨みました。比較的すんなり決まった昨年と異なり、審査する側の個性もあったのかもしれませんが、最後まで議論が白熱した最終結果となりました。受賞者の作品はふたつとも規模が小さいものですが、そこに込められた設計者の意思は強く伝わるものがありました。空間と構造を見事なバランスで統合した「東洋陶磁美術館エントランス棟」、新たな構造空間の問いかけを行った「グラウンド・ルーフ」、両者とも受賞作品のみならず経歴の点でも縦横な構造デザインへの意欲が感じられました。
 議論の中でいくつか評価の課題も見えました。よく考えられているであろう作品だが応募書類があまりにそっけなく設計者の真意が伝わりにくいもの、ひとつの作品からでは設計者の考えや建築に対する思想が伝わりにくいもの、設計者と対話して初めてその設計意図がわかるようなものなどもあり、今後構造デザイン賞をより発展させるための取り組みが行えればと思います。
 松井源吾特別賞は、構造デザインの発展に顕著な寄与をした個人に授与する賞で、今年は建築家の葉祥栄氏に授与することになりました。葉祥栄氏はいうまでもなく日本を代表する建築家であるとともに、先鋭的な構造デザインの取り組みを行った先駆者であり、その功績は本賞の授賞に正にふさわしいものでした。
 日本構造家倶楽部は構造デザインが建築の空間と質をより高められるよう、今後とも優れた設計者と作品をアシストできるよう努めていきたいと思います。

岡村 仁(選考委員長・構造家)


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2024年 第19回日本構造デザイン賞
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坪井 宏嗣(つぼい・ひろつぐ)/グラウンド・ルーフ
山田 祥平(やまだ・しょうへい)/東洋陶磁美術館エントランス棟


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2024年 第19回日本構造デザイン賞 松井源吾特別賞
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葉 祥栄(よう・しょうえい)
先鋭的な建築作品による構造デザインへの貢献


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選考委員
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岡村 仁(委員長・構造家)
安原 幹(建築家)原田 麻魚(建築家)早部 安弘(構造家)腰原 幹雄(構造家)鈴木 啓(構造家)大野 博史(構造家)