2022年第17回
日本構造デザイン賞
松井源吾特別賞

総合選考評

前の受賞者

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川口 健一
(かわぐち・けんいち)

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かわぐち・けんいち

経歴(受賞時)
東京大学教授、IASS*1副会長(2012-–)、SEWC*2理事(2018–)、日本建築学会副会長(2022–2024)、日本膜構造協会理事(2006–)、工学博士
1962年 東京都生まれ
1985年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1991年 東京大学大学院博士課程修了
1991年4月 同助手
1991年10月 同講師
1993年–1994年 英国インペリアルカレッジ、英国ケンブリッジ大学 共に客員博士
1995年 東京大学助教授
2006年 東京大学教授
1994–2015年 東京都立大学非常勤講師
2016年 中国天津大学名誉教授
*1 IASS: International Association for Shell and Spatial Structures
*2 SEWC: Structural Engineers World Congress

主な作品
C棟屋上ドーム(張力安定トラス)構造計画(意匠:藤井明研究室、実施設計:太陽工業)(1991)
ホワイトライノⅠ構造計画・基本設計(意匠:藤井明研究室、共同設計:太陽工業)(2001)
東京大学工学部2号館構造計画・基本設計(意匠:岸田省吾研究室、実施設計:類設計室)(2003)
ホワイトライノⅡ構造計画・基本設計(意匠:今井公太郎研究室、共同設計:太陽工業)(2017)


主な著書
『形態解析(一般逆行列とその応用)』共著、培風館、前198頁、1991年
「動く建築 その構造と形」編集主査、『建築雑誌』1995年2月号 第110集 第1368号、日本建築学会、1995年
『阪神・淡路大震災調査報告 建築編3、シェル・空間構造』取りまとめ及び執筆、全410頁、1997年
「ドーム建築 来し方行く末」編集主査、『建築雑誌』1998年10月号 第113集 第1428号、日本建築学会、1998年
『プロが教える建築のすべてがわかる本』監修、全248頁、ナツメ社、2010年
『一般逆行列と構造工学への応用(計算工学シリーズ1)』単著、全214頁、コロナ社、2011年
“Fifty Years of Progress for Shell and Spatial Structures”、Ihsan Mungan and Jhon Abel(Editors)et al.、8.2節担当、全492頁、Published by IASS、printed by SODEGRAF、M-28222-2011、2011年
『天井等の非構造材の落下に対する安全対策指針・同解説』主査執筆、全192頁、日本建築学会、2015年
“Fabric Structures in Architecture” Ignasi Llorens ed.、19章担当、全868頁、Woodhead Publishing Series、Elsevier、2015年
“Structural Design Map Tokyo” 共同監修、全143頁、Sogo-Shikaku Co.Ltd.、2021年


主な受賞
1999年 日本建築学会奨励賞
2005年 日本膜構造協会論文賞
2008年 日本免震構造協会 技術賞(特別賞)
2012年 日本建築学会賞 (論文)
2020年 大成学術財団選奨・金賞
2021年 Pioneers’ Award(英国サリー大学)

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業績:空間構造デザインの学術と実践および国際活動
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C棟屋上ドーム外観、意匠設計:藤井明研究室。1991年。撮影:東京大学川口建一研究室  ▶

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選考評
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 松井源吾特別賞は、構造設計者の活動を理解し支えて下さってきた建築家、研究者、メーカーエンジニアの方々に感謝と尊敬の念を込めて授与してきたが、今年は空間構造の研究を長らく国内外で展開し、かつ自らそれを構造設計に実践されてきた川口健一東京大学教授にお送りすることとした。
 川口健一教授は構造家として著名な川口衞氏のご子息であるが、ご本人は一貫して学術の道を歩まれて来た。すなわち早稲田大学卒業後、空間構造研究の大家であった東京大学生産科学研究所の半谷裕彦教授のもとで博士の学位を取得、2年間の英国Imperial Collage, Kenbridge大への留学を経て、東京大学の教員となり研究・教育に勤しんでこられた。専門は張力構造、形態解析、可変・展開構造、免震構造と多岐にわたるが、特にテンセグリティ構造を実際の屋根支持構造として使用した東京大学ホワイトライノⅠ、ホワイトライノIIは氏の研究成果が理論のみならず、現実の構造システムとして成立することを実証した稀有な作品といえる。また、故半谷裕彦教授が展開された一般逆行列とその応用に関する研究を受け継ぎ、数々の教科書を出版されている。研究者としての側面と併せて、衞氏譲りの構造デザインに関する深い知見、啓蒙活動も氏の魅力となっている。
 川口健一教授は現在日本建築学会の副会長、シェル空間構造運営員会主査であり、また国際空間構造学会IASSの副会長として恩師の名前を冠した若手研究者賞“Hangai Prize”を立ち上げ、国内外の多くの若き研究者・エンジニアを発掘し奨励してこられた。その功績は松井源吾特別賞に相応しいものである。今回日本構造家倶楽部のメンバーとしてお迎えできることは慶びであり、今後の益々のご活躍に期待したい。

竹内 徹(選考委員長・構造家)


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